大谷翔平、スキャンダル報道の中、約2年ぶりにドジャースのマウンドに復帰

大谷翔平、スキャンダル報道の中、約2年ぶりにドジャースのマウンドに復帰

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、2025年6月16日(日本時間17日)、本拠地でのパドレス戦で先発投手としてマウンドに立ち、約663日ぶりにメジャーリーグでの投手復帰を果たした。2023年8月23日のエンゼルス時代以来となる公式戦登板は、ドジャースのユニフォームを着て初めての「二刀流」としての出場となった。この復帰戦は、1回を投げて2安打1失点、28球で降板という結果に終わったが、最速100.2マイル(約161.2キロ)の速球を記録し、ファンを沸かせた。しかし、この歴史的な瞬間は、元通訳・水原一平氏の違法賭博スキャンダルに関する報道が続く中での出来事であり、大谷選手の復帰に複雑な影を落としている。

大谷選手は2023年9月に2度目の右肘靭帯修復手術(トミー・ジョン手術)を受け、2024年シーズンは打者に専念していた。2024年は54本塁打、130打点、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ナショナルリーグのMVPに2年連続3度目の選出されるなど、打者として圧倒的な成績を残した。一方で、投手としての復帰は慎重に進められ、当初は2025年7月のオールスター戦後が目標とされていた。しかし、ドジャースの先発投手陣の故障者が続出し、チームのブルペンに負担がかかる中、大谷選手本人が「メジャーで投げる準備ができている」と強く訴えたことで、復帰が大幅に前倒しされた。ロバーツ監督は「実戦で投げながら状態を上げていくのが合理的」と説明し、異例の調整法を選択した。

試合当日、ドジャースタジアムに集まった5万3027人の観客は、大谷選手がマウンドに上がる姿に大きな歓声を送った。初球は97.6マイル(約157.1キロ)のシンカーで、パドレスのフェルナンド・タティスJr.をフルカウントから右中間へ運ばれる安打を許した。続くルイス・アラエスにも左前安打を浴び、無死一・三塁のピンチを迎えたが、マニー・マチャドの犠飛で1点を失ったのみで切り抜けた。大谷選手は「結果はあまり良くなかったが、次に進むための良い材料が得られた」と振り返り、復帰初戦を前向きに捉えた。チームメイトのマックス・マンシー内野手は「彼が28球投げた後、すぐに打席に立つ姿を見て、本当にすごいと感じた」と二刀流のタフさを称賛した。

一方で、大谷選手の復帰をめぐる話題は、スキャンダルの影響を避けられない。2024年春に発覚した水原氏の違法賭博問題では、大谷選手の銀行口座から約1700万ドルが不正に引き出され、連邦捜査局の調査が行われた。最終的に大谷選手は被害者と認定され、処分は免れたが、メディアや一部のファンからは依然として疑惑の目が向けられている。特に、復帰戦直前の6月には、米メディアの一部が「大谷の投手復帰はスキャンダルから注意をそらすための戦略か」と報じるなど、厳しい論調も見られた。大谷選手はこれらの報道に対し、「野球に集中したい」とコメントし、騒動を封じ込める姿勢を示している。

投手としての今後の展望について、ロバーツ監督は「1週間に1度の登板で、徐々にイニングを増やしていく」との方針を明らかにした。6月22日(日本時間23日)のナショナルズ戦では、2度目の登板が予定されており、1~2イニングを投げる「オープナー」としての役割が期待されている。復帰戦ではコントロールに課題を残したものの、球速や球のキレは手術前の水準に近づいており、専門家からは「バージョンアップした投手・大谷が見られる可能性がある」との声も上がっている。

しかし、ドジャースのチーム状況は依然として厳しい。先発投手の離脱が多く、ブルペンの負担が大きい中、大谷選手の投手復帰はチームにとって大きな希望だが、過度な負担が再び怪我につながる懸念も指摘されている。2023年のエンゼルス時代、疲労蓄積による右肘靭帯損傷の苦い経験を繰り返さないためにも、チーム全体での慎重な管理が求められる。

大谷翔平選手の二刀流復帰は、野球史に新たな1ページを刻む瞬間となった。スキャンダルの逆風を乗り越え、マウンドと打席で輝く彼の姿は、世界中のファンを魅了し続けている。これからの登板で、どのような進化を見せるのか、期待が高まるばかりだ。

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