ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、2025年6月29日(日本時間30日)、カンザスシティ・ロイヤルズ戦で今季3度目の先発登板を果たし、MLBキャリア最速となる163.7キロの投球を記録した。この試合で大谷は投手として2回を投げ、1被安打、1四球、1奪三振、無失点という見事な成績を残した。打者としては4打数無安打に終わり、連続試合安打が5でストップしたが、投手としての復帰戦で見せた圧倒的なパフォーマンスは、ファンや関係者に大きな衝撃を与えた。
大谷は2023年9月にトミー・ジョン手術を受け、2024年シーズンは打者に専念していた。2025年は二刀流復活の年として注目を集めており、この日の登板は663日ぶりの先発復帰から3戦目にあたる。1回裏、1アウト1・2塁のピンチで迎えたロイヤルズの4番打者ビニー・パスクアンティノに対し、2ストライクに追い込んだ後の3球目で163.6キロ(約101.7マイル)のストレートを投じ、ピンチを切り抜けた。この球速は大谷のメジャーでの公式戦最速記録であり、MLB公式記者も「常識を壊し続ける男」とその異次元のパフォーマンスを称賛した。

大谷の投球は、単に速さだけでなく、精度と戦略にも優れていた。27球を投げた2イニングでは、速球とスプリッターを効果的に組み合わせ、相手打線を翻弄。1回裏のピンチでは、163.7キロの速球でパスクアンティノを圧倒し、2回にはスプリッターで三振を奪うなど、投手としての成長を見せつけた。試合後のインタビューで大谷は、「細かいところは別として、積極的にゾーンで勝負できた」と振り返り、投球内容に一定の手応えを感じている様子だった。

一方、打者としてはこの試合で4打数無安打、3三振と振るわなかったが、今季の打撃成績は依然として圧倒的だ。6月27日時点で打率.291、29本塁打、54打点、11盗塁、OPS1.033を記録し、ナショナルリーグのMVP候補として名を連ねている。特に6月は7本塁打を放ち、昨年同月の12本には及ばなかったものの、コンスタントに長打を重ねている。直近5試合で4本塁打を記録するなど、打者としての存在感も際立っている。
ドジャースはこの試合でロイヤルズに5-9で敗れたものの、チームはシーズン半ばで50勝31敗と好調を維持。山本由伸投手や佐々木朗希投手の加入により、投手陣も強化されており、ワールドシリーズ連覇への期待が高まっている。大谷の二刀流復帰は、チームにとって大きな推進力となるだろう。監督のデーブ・ロバーツは試合後、「ショウヘイの投球は我々に勢いを与える。彼の存在は特別だ」と語り、大谷の貢献を高く評価した。
大谷の投手復帰は、MLB全体にも影響を与えている。Xでのファンや専門家の投稿では、「大谷が投手として復帰し、こんな投球を見せるとは信じられない」「歴史を塗り替える二刀流」とその偉業を称える声が相次いだ。特に、1番打者として先発登板するスタイルは、1900年以降で12度目という異例の記録であり、彼の唯一無二のスタイルが改めて注目を集めている。
今季の大谷は、投手としてさらなる登板機会を増やしながら、打者としてもリーグトップクラスの成績を維持することが期待される。6月30日にはオールスターゲームのスタメン候補として名前が挙がり、チームメイトとともに最多8人の選出が予想されている。ファンにとっては、大谷の投打両面での活躍が毎試合楽しみであり、彼の挑戦は野球の枠を超えた感動を世界中に届けている。
今後の大谷の活躍に注目が集まる中、7月以降も彼の投球と打撃がドジャースの勝利にどう貢献していくのか、目が離せない。ロサンゼルス・ドジャースの快進撃とともに、大谷翔平の二刀流が再びMLBの歴史を刻む瞬間が待たれている。