ロサンゼルス・ドジャースのスーパースター、大谷翔平が2025年シーズンに向けて二刀流復帰を目指す具体的な計画を進めていることが、ファンの間で大きな話題となっている。2023年に2度目の右肘手術を受けた大谷は、2024年シーズンを打者に専念して過ごし、驚異的な成績を残した。メジャーリーグ史上初の50本塁打・50盗塁を達成し、ワールドシリーズ制覇に貢献、2年連続3度目のMVPを受賞するなど、打者としての才能を存分に発揮した。しかし、ドジャースファン、そして野球界全体が最も待ち望んでいるのは、彼の投手としての復帰だ。右肘のリハビリが順調に進む中、大谷のマウンド復帰に向けた計画が徐々に明らかになりつつあり、その期待感は日増しに高まっている。

大谷の投手復帰に関しては、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督やマーク・プライアー投手コーチが慎重な姿勢を見せている。5月下旬に行われた実戦形式の投球練習では、大谷が最速156キロの直球と鋭いスプリットを披露し、打者11人に対して安打を許さず6奪三振を記録したことが報じられた。このパフォーマンスに対し、米メディアは「歴史上最も重要な実戦練習」と冗談交じりに称賛したが、チーム側は復帰時期について明確な日程を示していない。ロバーツ監督は「オールスター前での復帰は難しい」と明言しつつも、「順調に進めばシーズン後半での登板は可能」との見解を示した。一方で、プライアーコーチは6人ローテーションの導入を検討し、大谷の右肘への負担を最小限に抑える方針を強調している。

大谷自身も、リハビリとトレーニングに全力を注いでいる。2月のスプリングトレーニング開始時、彼は「シーズン後半にピークを持っていく」ことを目標に体型調整を行っていると語った。投手としての復帰を見据え、右肘への負担を軽減するため、打撃時の飛距離を多少犠牲にしても投球パフォーマンスを優先する可能性も示唆されている。この戦略的なアプローチは、大谷が二刀流を長期的に続けるための賢明な選択と評価されている。実際、2023年以前の投手成績を振り返ると、大谷は防御率3.01、156奪三振(2021年)、15勝(2022年)、10勝(2023年)と、エース級の活躍を見せてきた。そのポテンシャルを考えれば、復帰後のマウンドでの活躍はドジャースの投手陣にとって大きな戦力となるだろう。

一方で、復帰を急ぐべきではないとの声も根強い。元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲスやバリー・ボンズ、さらには大谷の元監督ジョー・マッドン氏は、「今季は打者に専念し、投手復帰は来季以降に」と慎重な意見を述べている。特にマッドン氏は、ワールドシリーズ最終戦から逆算した登板計画を提案し、最大100回、1登板あたり80~100球を目安に慎重な管理を主張した。こうした意見は、大谷の健康と長期的なキャリアを守るためのものだ。実際、2024年シーズンでの打撃成績(打率.310、54本塁打、59盗塁)は、ドジャースの攻撃力を支える不可欠な要素だった。投手復帰によるリスクが、チーム全体のパフォーマンスに影響を与える可能性も無視できない。
ドジャースのファンにとって、大谷の二刀流復帰は夢のようなシナリオだ。山本由伸や佐々木朗希ら日本人投手と共にローテーションを形成する姿は、ナショナルリーグ西地区のライバルチームにとって脅威となるだろう。しかし、復帰時期が不透明な中、ファンは忍耐強く見守る必要がある。6月10日のパドレス戦では、大谷が6試合連続安打となる二塁打を放ち、打者として絶好調を維持している。この勢いを維持しつつ、投手としての準備を着実に進める大谷の姿は、チームメイトやファンに大きな希望を与えている。
大谷のマウンド復帰は、単なる個人の挑戦を超え、野球史に新たな一ページを刻む可能性を秘めている。右肘のリハビリが最終段階に差し掛かる中、彼の次の登板がいつになるのか、ドジャースファンは固唾をのんで見守っている。2025年シーズン、大谷翔平が再び二刀流のスーパースターとして輝く瞬間が、すぐそこまで来ているかもしれない。