2025年6月17日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、2シーズンぶりにメジャーリーグのマウンドに復帰した。この日、宿敵サンディエゴ・パドレスとの試合で、大谷は「1番・投手兼指名打者」として先発出場。663日ぶりの投手復帰戦は、ドジャースファンだけでなく、全世界の野球ファンの注目を集めた。この復帰は、ナショナルリーグ西地区でのドジャースの3連覇と、さらなるワールドシリーズ制覇への期待を一層高めるものとなった。

大谷のマウンド復帰は、2023年9月に受けた2度目の右肘靭帯修復手術からの長いリハビリを経て実現した。手術後、彼は今季、打者に専念し、驚異的な成績を残してきた。2024年シーズンでは、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、本塁打王と打点王の2冠に輝いた。さらに、打率.310、安打数リーグ2位という圧倒的な打撃成績で、ドジャースの強力打線を牽引してきた。しかし、ファンが待ち望んだのは、大谷の代名詞である「二刀流」の完全復活だった。
この日のパドレス戦で、大谷は1回を投げ、1失点を許したが、最速161.2キロの速球を記録するなど、力強い投球を見せた。試合後、彼は「結果はあまり良くなかったが、次に繋がる材料がたくさんあった」と前向きに振り返った。打者としては2本のタイムリーヒットを放ち、チームの勝利に大きく貢献。ドジャースは5対4で勝利し、地区首位をキープした。この二刀流の活躍は、チームメイトやファンに大きな感動を与え、ドジャースの底力を改めて示した。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、大谷の復帰について、「彼の準備が整ったという強い意志が決定を後押しした」と語った。通常の先発投手とは異なる調整法を選んだ大谷は、実戦で投げながら状態を上げていく方針だ。監督は「1週間に1度の登板で、徐々にイニングを増やしていく」と説明。チームの投手陣が故障者リストに多数名を連ねる中、大谷の復帰はブルペンの負担軽減にも繋がる。ファンからは「大谷が投げる姿を見ると、チームの可能性が無限に感じる」との声が上がっている。
2024年、ドジャースはナショナルリーグ西地区を98勝64敗で制し、3年連続22回目の地区優勝を果たした。大谷は9月26日のパドレス戦で、5打数3安打1打点の活躍を見せ、7回に決勝タイムリーヒットを放ち、チームを勝利に導いた。この試合でドジャースは7対2で勝利し、地区優勝を決定。試合後のシャンパンファイトでは、大谷の満面の笑みが印象的だった。元同僚のエンゼルス選手たちからも祝福のメッセージが寄せられ、彼の7年目にして初の地区優勝は大きな話題となった。
ポストシーズンでは、ドジャースは地区シリーズでパドレスを3勝2敗で下し、リーグ優勝決定シリーズではメッツを4勝2敗で破り、4年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。大谷はメッツ戦の第6戦で2安打1打点を記録し、チームの10対5の勝利に貢献。ワールドシリーズではヤンキースと対戦し、10月26日から始まるシリーズでの活躍が期待されている。2020年以来のワールドチャンピオンを目指すドジャースにとって、大谷の二刀流復活は大きな武器となる。
大谷の復帰は、チームの士気を高めるだけでなく、ナショナルリーグ西地区のライバルチームに対する心理的優位性ももたらしている。特にパドレスとの対戦では、大谷の存在感が試合の流れを変える場面が多かった。6月12日のパドレス戦では、8試合連続ヒットとなるスリーベースを放ち、5対2の逆転勝利に貢献。ファンは「大谷がマウンドに立つだけで、相手チームにプレッシャーを与える」とその影響力を称賛する。
2025年シーズンは、ドジャースに新たに佐々木朗希投手が加入し、投手陣の強化が図られている。大谷と山本由伸、そして佐々木という日本人トリオの活躍は、チームの2連覇への鍵となるだろう。6月23日のナショナルズ戦では、大谷の2度目の登板が予定されており、さらなる進化が期待される。ファンや専門家の間では、「大谷の二刀流が完全復活すれば、ドジャースは無敵」との声も多い。
大谷翔平のマウンド復帰は、単なる個人のカムバックに留まらない。それは、ドジャースのナショナルリーグ西地区制覇、そしてワールドシリーズ制覇への情熱に火をつける象徴的な出来事だ。世界中のファンが、彼の次なる一投一打に目を奪われるだろう。