大谷翔平が満場一致で3度目のMVPに輝き、フランク・ロビンソンに続き、ア・リーグとナショナルリーグの両方でMVPを獲得した唯一の選手となった

2024年11月21日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、ナショナルリーグの最優秀選手（MVP）に満場一致で選出された。この受賞は彼にとって2年連続、3度目のMVP獲得となり、MLB史上初の指名打者（DH）専任選手としての快挙となった。さらに、1961年にシンシナティ・レッズ、1966年にボルティモア・オリオールズでMVPを獲得したフランク・ロビンソンに続き、大谷はア・リーグとナショナルリーグの両方でMVPを受賞した史上2人目の選手となった。この偉業は、大谷が単なる選手を超えた存在であることを改めて世界に示した。

大谷は2021年と2023年にロサンゼルス・エンゼルスでア・リーグMVPを獲得し、投打の二刀流として圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。特に2021年には打者として46本塁打、投手として9勝を挙げ、MLB史上稀に見る二刀流の才能を開花させた。2023年には44本塁打でア・リーグ本塁打王に輝き、投手としても10勝を記録。満場一致でのMVP受賞は彼の類まれな能力を象徴していた。しかし、2024年は右肘手術の影響で投手を休業し、打者に専念。それでもなお、驚異的な成績を残し、ナ・リーグMVPを満票で獲得した。

今シーズン、大谷は159試合に出場し、打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁を記録。MLB史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ナ・リーグの本塁打王と打点王の2冠に輝いた。この「50-50」は、単なる数字以上の意味を持つ。過去に「40-40」を達成した選手はわずか5人だったが、大谷はそれを大きく超え、8月中にこの記録を達成する圧倒的なスピードを見せつけた。盗塁死はわずか4回で、成功率93.7％という驚異的な効率も示した。OPS（出塁率＋長打率）1.036は、2位のマルセル・オズナ（アトランタ・ブレーブス）の.925を大きく引き離し、彼の打撃の支配力を証明した。

大谷の活躍は、ドジャースのチーム成績にも大きく貢献した。故障者続出の中、159試合に出場し、チームのナ・リーグ西地区優勝とワールドシリーズ制覇に欠かせない存在だった。特に、シーズン中盤にムーキー・ベッツが故障で離脱した際には、1番打者としてチームを牽引。記者投票によるMVP選出では、全米野球記者協会（BBWAA）の30人全員が大谷を1位に選び、2位のフランシスコ・リンドーア（ニューヨーク・メッツ）や3位のケテル・マルテ（アリゾナ・ダイヤモンドバックス）を圧倒した。この満票での受賞は、大谷にとって3度目となり、MLB史上最多記録を更新した。

データ面でも大谷の価値は際立つ。勝利貢献度を示すWAR（Wins Above Replacement）は、指名打者として守備のマイナス補正を受けながらも9.2を記録し、ナ・リーグトップ。リンドーアの7.0、マルテの6.8を大きく上回った。この数字は、守備につかない選手としては異例の高さであり、大谷が走塁や打撃でどれだけチームに貢献したかを物語る。さらに、彼はハンク・アーロン賞、シルバースラッガー賞、エドガー・マルティネス賞など複数の個人賞を獲得し、シーズンを通じて圧倒的な存在感を示した。

大谷の影響力は、フィールド外でも顕著だ。ロサンゼルス市は彼の功績を称え、5月17日を「大谷翔平の日」と制定。ファンやメディアは、彼の「50-50」達成の瞬間を「マイアミの夜」として語り継ぎ、100年後の野球ファンにも語り継がれる偉業と評した。ワールドシリーズでは、ニューヨーク・ヤンキースを破り、自身初のチャンピオンリングを獲得。試合後のコメントでは、「ドジャースの一員として、みんなでつかみとったもの」とチームへの感謝を述べた。

2025年シーズンに向けて、大谷は投手としての復帰を目指している。右肘のリハビリを終え、再び二刀流としてマウンドに立つ姿は、ファンにとって大きな期待だ。「さらに強くなったパフォーマンスを見せたい」と語る彼の言葉には、さらなる進化への意欲が感じられる。フランク・ロビンソンの記録に並び、指名打者として前人未到のMVPを獲得したの大谷翔平。野球史に新たなページを刻み続ける彼の次なる挑戦が、すでに世界中から注目されている。