大谷翔平、ドジャースのマウンド復帰で時速100マイルを記録、観客を驚かせる

2025年6月17日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、663日ぶりにメジャーリーグのマウンドに復帰し、圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了した。この日、本拠地ドジャースタジアムで行われたサンディエゴ・パドレス戦で、大谷は「1番・投手兼指名打者」として先発出場。1イニングを投げ、28球で2安打1失点を記録したが、そのストレートは最速100.2マイル(約161.2キロ)を計測し、スタンドをどよめかせた。この復帰は、2023年9月に受けた2度目の右肘靭帯修復手術(トミー・ジョン手術)からの長いリハビリを経て実現したもので、野球界に再び「二刀流」の衝撃をもたらした。
大谷のマウンド復帰は、ドジャースの投手陣が故障者続出という厳しい状況下で決断された。15日の時点で、チームは14人の投手を故障者リストに抱えており、先発投手不足が深刻化していた。監督のデーブ・ロバーツは、復帰時期について当初は7月のオールスター後を想定していたが、大谷本人の「メジャーで投げる準備ができた」という強い意志と、チームの事情が重なり、急遽このタイミングでの登板が決定した。大谷は実戦形式の投球練習で3回を想定した44球を投げ、96マイル(約154キロ)の球速を記録するなど順調な回復を見せていたが、試合での登板は想定よりも早く訪れた。
試合当日、ドジャースタジアムは異様な熱気に包まれた。初球の157キロのシンカーが投じられると、スタンドからは大歓声が沸き起こった。大谷の投球は、4シームが平均159.4キロ、シンカーが156.7キロ、スイーパーが139.3キロ、スプリットが146.9キロと、どれも高水準だった。特に最速100.2マイルのストレートは、手術後の復帰戦とは思えない力強さで、観客だけでなく対戦相手のパドレス打線にも衝撃を与えた。1回裏、2安打を許し1失点を喫したが、コントロールに若干の課題を残しつつも、奪三振は記録できなかったものの、四球を出さなかった点は評価された。
大谷の投球スタイルは、手術前と変わらぬダイナミズムを保っていた。鋭いスプリットやツーシームも織り交ぜ、打者を圧倒する姿勢は健在だった。米メディアは「ユニコーンが帰ってきた」と大々的に報じ、ファンの間でも「これぞ大谷翔平」との声が広がった。SNS上では、「100マイルを投げられるなんて信じられない」「二刀流の復活は歴史的瞬間だ」と興奮のコメントが飛び交った。元日本ハムの杉谷拳士氏は、自身のSNSで「ミラクル」と称賛し、大谷の復帰を祝福した。
打者としても、大谷は同試合で「1番・指名打者」として出場。第1打席ではパドレスの先発投手に対し空振り三振に倒れたが、その後の打席では持ち前の打撃センスを見せ、チームの攻撃を牽引した。2024年シーズンには、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ナショナルリーグのMVPを2年連続で受賞した大谷。打者としての実績はすでに圧倒的だが、投手としての復帰が加わることで、彼の存在感はさらに際立つ。
ドジャースのロバーツ監督は試合後、「翔平の復帰はチームにとって大きな一歩だ。ただし、メインのゴールは10月のポストシーズンでの活躍だ」とコメント。短いイニングでの登板を重ね、徐々に投球回数を増やしていく計画を明かした。チームの投手事情を考慮しつつ、大谷の体調管理を最優先に進める方針だ。一方、王貞治氏は大谷の復帰について、「少し早い気もするが、彼の能力は別格だ。野球史に残る選手になるだろう」と期待を寄せた。
大谷の復帰戦は、単なる試合以上の意味を持っていた。故障からの完全復活を目指す彼の姿は、ファンに感動と希望を与えた。663日ぶりのマウンドで100マイルを投じた大谷翔平。その一投一打が、野球の可能性を無限に広げていく。今後の登板で、どのような「二刀流」のパフォーマンスを見せるのか、野球ファンの期待は高まるばかりだ。