大リーグの歴史に名を刻む盗塁王、リッキー・ヘンダーソンが、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平について衝撃的な本音を語った。2024年シーズンに50本塁打と50盗塁という前人未到の記録を達成し、ワールドシリーズ制覇に貢献した大谷。その偉業に対し、ヘンダーソンは「翔平は僕より大きい怪物だ」と称賛し、彼の類まれな才能と独自のスタイルに驚嘆した。2025年シーズンも好調を維持する大谷に対するこの発言は、野球界に新たな議論を巻き起こしている。

ヘンダーソンは、メジャーリーグで通算1406盗塁を記録し、「史上最高の先頭打者」と称された伝説の選手だ。2024年12月に肺癌のため65歳で逝去する直前、彼は大谷のプレースタイルについて詳細に語っていた。スポーツ・ヤフーのインタビューで、ヘンダーソンは大谷の盗塁技術に注目。「リッキーより足の速いやつはいた。でも、1歩目、2歩目、3歩目までなら誰にも負けなかった」と自負していた彼は、大谷のスタートの鋭さに驚きを隠さなかった。「翔平の瞬発力は別次元だ。投手としても打者としてもあれだけの活躍をしながら、盗塁でここまで成功するなんて信じられない」と語り、大谷の59盗塁(2024年シーズン)をヘンダーソン自身の全盛期と同レベルと評価した。

大谷の盗塁スタイルは、ヘンダーソンとは対照的だ。ヘンダーソンはヘッドスライディングを多用し、膝や足の怪我を避けるために頭から滑り込んだ。一方、大谷は足から滑るスタイルを貫く。これは投手としての負担や、2024年ワールドシリーズでの左肩脱臼のリスクを考慮したものだ。ヘンダーソンはこの違いについて、「翔平は賢い。彼は自分の体を守りながら最大の効果を引き出している。僕が頭から滑ったのは、膝がキャリアで最も重要だったからだ」と説明。自身のスライディング技術については、飛行機のスムーズな着陸を参考に「低い位置を長く保つ」ことで衝撃を軽減したと明かした。

2025年シーズンの大谷は、さらなる進化を見せている。4月28日の日本経済新聞によると、シーズン序盤の不調を克服し、5月10日のダイヤモンドバックス戦では9回に勝ち越し3ランを放ち、チームを14-11の勝利に導いた。この試合で12号本塁打を記録し、打率も上昇傾向にある。チームメイトの「彼だって人間だ」というコメントが話題になったが、大谷はスランプを冷静に分析し、修正力を見せつけた。 また、5月20日の同カードでは6回に本塁打を放ち、敵地のファンを驚かせた。SNSでは「桁違い」と称賛され、米メディアも彼の存在感を「異様な光景」と報じた。

ヘンダーソンが大谷に注目したもう一つの共通点は、自己を客観視する姿勢だ。ヘンダーソンはインタビューで自身を「リッキー」と呼び、第三者的な視点で語る癖があった。大谷も試合後の会見で冷静に自身のプレーを振り返り、イチローと似た俯瞰的思考を持つ。「トップアスリートに求められる特性かもしれない」とヘンダーソンを取材した記者は語るが、彼自身は「ただの口癖」と笑ったという。 この客観性が、大谷が投打両方で成功し、2024年に50-50を達成した要因の一つかもしれない。2025年5月時点で、大谷は15本塁打、20盗塁を記録し、再び歴史的なシーズンに向けて突き進んでいる。
大谷の影響力は、野球場を越えて広がっている。2025年3月の東京シリーズでは、日本でのドジャース戦が「大谷フィーバー」を巻き起こし、テレビやネットは彼一色に染まった。 しかし、一部では過剰な報道にモヤモヤする声も。こうした中、ヘンダーソンの言葉は大谷の特別さを改めて浮き彫りにする。彼は単なる選手ではなく、日本野球の体現者として、メジャーリーグの精神を体現している。
ヘンダーソンの死去は、野球界に大きな喪失感をもたらしたが、彼が最後に残した大谷への賛辞は、今後のキャリアに重みを与える。「翔平は僕より大きい怪物だ」という言葉は、単なる比較を超え、次世代のスーパースターへのバトンだ。大谷は2025年、さらなる記録更新を目指し、投手復帰も控える。二刀流の怪物がどこまで飛躍するのか、ファンは息をのんで見守っている。