大リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平選手は、2023年オフに10年総額7億ドル(約1015億円)の史上最高額契約を結び、世界を驚かせた。この契約の背景には、単なる成績や才能を超えた理由があると、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が最近のインタビューで初めて明かした。ロバーツ監督は、大谷を「本物のスーパースター」と称し、彼と他の偉大な選手たちに共通する特別な資質を指摘。その発言は全米の野球ファンを震撼させ、改めて大谷の価値とドジャースの戦略に注目が集まっている。

大谷の2024年シーズンは、まさに歴史的なものだった。右肘手術後の打者専念のシーズンで、54本塁打、130打点、打率.310を記録し、日本人初のトリプルスリーを達成。59盗塁は日本人選手のシーズン最多記録となり、リーグ2冠もほぼ手中に収めた。ロバーツ監督は、9月30日のロッキーズ戦後の会見で、「ショウヘイはスーパースターだ。彼への期待は計り知れないが、毎日その期待に応え続ける姿に驚く」と語った。特に、怪我人が続出したチームの中で、159試合に出場し、700打席近くをこなした鉄人ぶりを称賛。「彼がラインアップにいるだけで、チームが一段と強くなる」と、監督は大谷の安定した貢献に感謝の意を示した。

しかし、ロバーツ監督が語った「1,000億円契約の真の理由」は、単なる数字や成績以上のものだ。5月1日のマーリンズ戦後のインタビューで、監督は大谷、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンの“MVPトリオ”について、「彼らがスーパースターである理由は、プレッシャーを背負いながら結果を出し続ける能力にある。彼らはそのために契約されている」と述べた。ロバーツ監督は、大谷がバリー・ボンズと並ぶ「クラッチでの別格の活躍」を見せると評価。特に、5月9日のダイヤモンドバックス戦で9回に放った決勝3ランは、監督が「今まで見たことのないプレー」と絶賛する瞬間だった。この試合での大谷のバットフリップと両手万歳の感情表現は、チーム全体の士気を高め、ライバルを圧倒した。

ロバーツ監督はさらに、大谷と他のスーパースターの「共通点」として、準備の徹底さと集中力を挙げた。「ショウヘイのルーティンは驚異的だ。毎日同じ時間に同じことをこなし、ストライクゾーンを支配する。彼の集中力は別次元だ」と、監督は大谷のプロフェッショナリズムを強調。2024年シーズン終盤の1カ月で、打撃の精度が飛躍的に向上し、盗塁も効果的に決める姿に、「これほどの選手は見たことがない」と目を細めた。この準備の姿勢は、ドジャースが大谷に巨額投資を決断した大きな要因だ。経済学者・宮本勝浩氏の試算では、大谷の経済効果は約533億円に上り、チケット代やグッズ、放映権料を通じて契約額以上の利益を生むとされている。

一方で、契約の構造も注目を集めている。米メディアによると、大谷の7億ドルの大半は後払いであり、チームの年俸総額を抑えつつ選手補強を可能にする戦略的な設計だ。これにより、ドジャースはベッツやフリーマンらと共に強力なロースターを維持。ロバーツ監督は、「ショウヘイはチームのために全力を尽くすと誓った。その姿勢が、契約の価値をさらに高める」と語り、大谷のチームへの献身を称賛した。
しかし、シーズン中には試練もあった。10月19日のメッツ戦での走塁ミスに対し、ロバーツ監督は異例外言を呈し、「頭が真っ白だったのだろう」と指摘。米メディアはこれを「監督の厳しい姿勢」と報じたが、すぐに大谷が2安打で応え、信頼関係の強さを示した。また、ポストシーズンでの投手起用案が浮上した際、監督は「打撃に影響するなら避けるべき」と慎重な姿勢を見せ、大谷の健康を最優先に考える姿勢を明確にした。
全米が驚愕したロバーツ監督の発言は、大谷が単なる選手ではなく、チームとファンを鼓舞する存在であることを浮き彫りにした。2025年、投手復帰を控える大谷は、ワールドシリーズ制覇を目指すドジャースの中心としてさらに輝くだろう。ロバーツ監督の言葉通り、「スーパースターの共通点」を体現する大谷の活躍は、野球の歴史を塗り替える可能性を秘めている。ファンもメディアも、彼の次なる「ショー」に期待を寄せている。