2025年のメジャーリーグ（MLB）の最優秀選手（MVP）レースは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平とニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジによる熾烈な争いが注目を集めているが、ここにきてシアトル・マリナーズから意外な3人目の候補者としてフリオ・ロドリゲスが浮上している。両リーグのMVP候補として大谷とジャッジが圧倒的な支持を得る中、ロドリゲスの急激な台頭は、ファンや専門家の間で話題となっている。大谷の「50本塁打・50盗塁」、ジャッジの驚異的な打撃成績に続き、ロドリゲスの総合力が高く評価され、MVPレースに新たな風を吹き込んでいる。

大谷は2024年、ドジャース移籍1年目で打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁を記録し、史上初の「50-50」を達成。ナショナル・リーグの本塁打王と打点王を獲得し、チームをワールドシリーズ優勝に導いた。2021年と2023年にアメリカン・リーグMVPを満票で受賞した彼は、2024年も満票でナ・リーグMVPを獲得し、史上初の両リーグ連続MVP受賞者となった。2025年は投手復帰も予定されており、米メディア『MLBネットワーク』では「88％の確率でMVPを獲得する」との声も上がる。一方、ジャッジは2024年に打率.322、58本塁打、144打点を記録し、ア・リーグの2冠王に輝いた。WAR（勝利貢献度）は両リーグトップの10.8をマークし、ヤンキースを15年ぶりのワールドシリーズ進出に導いた。2022年に続き2024年も満票でMVPを受賞した彼だが、2025年は「ポストシーズンの打率.133が不安要素」との指摘もある。

ここに、シアトルの若きスター、フリオ・ロドリゲス（24歳）が割って入った。2024年、彼は打率.275、32本塁打、103打点、37盗塁を記録し、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞を受賞。WARは7.8で、マリナーズの地区優勝に貢献した。2025年シーズン序盤、彼は4月までに打率.340、8本塁打、15盗塁を記録し、ファン投票でオールスター先発に選出された。米スポーツサイト『ESPN』は「ロドリゲスのスピードと守備力がMVPレースに新風を吹き込む」と評価。Xの投稿でも「@JulioFan21」が「フリオのセンター守備と勝負強さはジャッジ以上！」と称賛し、話題に。シアトル地元紙『シアトル・タイムズ』は、彼を「イチロー、ケン・グリフィーJr.以来のマリナーズの顔」と称し、MVP候補として推す声が高まっている。

大黒柱として比較される大谷とジャッジだが、ロドリゲスの魅力は若さと総合力だ。大谷は投打の二刀流で前人未踏の記録を打ち立て、ジャッジは圧倒的な長打力と安定感でチームを牽引する。一方、ロドリゲスは攻守走の三拍子が揃い、24歳の若さで成長の余地を残す。『スポーティング・ニュース』は「ロドリゲスは2025年に40本塁打・40盗塁を狙える」と予想し、MVP投票で3位以内を予測する声も。Xでは「@MLBInsider」が「大谷とジャッジは別格だが、フリオの勢いは無視できない」と投稿し、1万以上の「いいね」を獲得した。

しかし、MVPレースには課題も。投票は全米野球記者協会（BBWAA）の30人の記者が行い、レギュラーシーズンの成績のみが対象。ロドリゲスは大谷やジャッジに比べ、本塁打や打点で劣るため、知名度やインパクトでどこまで票を集められるかが鍵だ。また、マリナーズは2024年のポストシーズンで早期敗退し、チーム成績が投票に影響する可能性も指摘される。対照的に、大谷はドジャースの優勝、ジャッジはヤンキースの地区優勝で有利とされる。

2025年のMVP発表は11月下旬予定で、投票はポストシーズン前に締め切られる。ロドリゲスの地元シアトルでは、T-モバイル・パークに「フリオMVP！」のバナーが掲げられ、期待が高まる。『スポーツ・イラストレイテッド』は「大谷とジャッジの二強に、ロドリゲスが挑む構図はMLBの新時代を象徴する」と分析。大谷の二刀流、ジャッジのパワー、ロドリゲスのダイナミズムがぶつかり合うMVPレースは、野球ファンの心を掴んで離さない。果たして、シアトルの新星は歴史的快挙を成し遂げられるのか、注目が集まる。