ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、2023年秋に2度目の右肘手術を受けて以来、投手としての復帰を目指してリハビリを続けてきた。2025年シーズンは彼の「二刀流」復活が注目される中、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が大谷の投手復帰に関する最新情報を発表し、ファンの期待を一層高めている。ロバーツ監督は最近の記者会見で、大谷の復帰時期について「可能性はゼロではない」と述べ、具体的な時期としてオールスターゲーム前後の可能性に言及した。この発言は、ファンの間で「北のゼロ」という愛称で話題となり、大谷の復帰への期待感を象徴している。

大谷選手は2024年シーズン、打者に専念し、MLB史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成。ワールドシリーズ制覇に貢献し、3度目のMVPを受賞するなど、圧倒的な活躍を見せた。しかし、ファンが最も待ち望むのは、彼の投打両面での「二刀流」の復活だ。2023年に受けた右肘の側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)の影響で、2024年は投手としての登板がなかった。そのため、2025年の復帰は大谷自身にとっても、チームにとっても重要なマイルストーンとなる。

ロバーツ監督は、2025年5月25日の記者会見で、大谷の投手復帰について「7月のオールスターゲーム以降が現実的」と明言。6月11日のパドレス戦前には、大谷が実戦形式の投球練習(ライブBP)で3イニング、44球を投げ、6奪三振を記録する圧巻のパフォーマンスを見せたことを高く評価した。この練習では、最速156キロの速球やスプリット、ツーシームなど多彩な球種を駆使し、若手打者たちを相手に順調な回復ぶりをアピール。ロバーツ監督は「非常に良い日だった」とコメントし、復帰に向けた進捗に満足感を示した。

しかし、復帰時期については慎重な姿勢も崩していない。4月27日の会見では、投手陣の負傷者リスト(IL)入りが相次ぐ中、大谷の復帰を早める可能性について問われたが、「投手陣の状況が大谷のプログラムに影響を与えることはない」と否定。チームの投手陣は、タイラー・グラスノー、ブレイク・スネル、佐々木朗希ら主力が負傷で離脱するなど厳しい状況にあるが、大谷の復帰はあくまで彼の体調とリハビリの進捗に基づいて決定されると強調した。
大谷の投手復帰は、単に個人成績だけでなく、ドジャースのポストシーズン戦略にも大きな影響を与える。ロバーツ監督は「シーズン終盤、ポストシーズンで彼が投げることが最も重要」と述べ、10月のプレーオフでの登板を視野に入れていることを示唆。2024年のワールドシリーズ制覇を経験したドジャースにとって、2025年は今世紀初の連覇が目標だ。大谷が先発ローテーションやリリーフとして復帰すれば、チームの投手力は飛躍的に向上するだろう。
一方で、一部の専門家や元選手からは慎重論も出ている。元MLB選手のアレックス・ロドリゲス氏は「大谷が投手として復帰を急ぐと、DHとしての活躍にも影響が出る可能性がある」と指摘。ロバーツ監督もこの意見を意識しつつ、「大谷はスーパーマンに近い存在だが、無理はさせない」と語り、慎重な管理を徹底する方針を示した。
ファンやメディアの間では、大谷の復帰時期を巡る議論が過熱している。X上では「ロバーツ監督の『ゼロより上』発言が話題」と投稿され、復帰への期待と憶測が飛び交う。あるファンは「打者に専念してほしいが、本人が投げたいなら応援するしかない」と複雑な心境を吐露。一方で、大谷のブルペン投球での152キロ超の速球やバットを粉砕する投球に、「進化が止まらない」と興奮する声も多い。
大谷翔平の投手復帰は、単なる選手の復帰を超え、野球史に新たな1ページを刻む出来事となるだろう。ロバーツ監督の「北のゼロ」発言は、その可能性が決してゼロではないことを示し、2025年シーズンのドジャースにさらなる注目を集めている。ファンは大谷が再びマウンドで輝く姿を心待ちにしている。