ロサンゼルス・ドジャースは7月12日、サンフランシスコ・ジャイアンツとの試合で、1対2のビハインドから大谷翔平選手が第2打席で2試合ぶりとなる32号ツーランホームランを放ち、一時リードを奪った。しかし、チームは投打の噛み合いを欠き、4回に先発のダスティン・メイ投手が連続四球でピンチを招き、逆転を許した。最終的に2対8で敗れ、2017年9月以来となる8年ぶりの7連敗を喫した。この試合は、ドジャースにとって厳しいシーズン中盤の試練を象徴する一戦となった。

試合はジャイアンツの本拠地で行われ、ドジャースは大谷選手を1番・指名打者としてスタメン起用。初回、大谷選手はジャイアンツのエース右腕ローガン・ウェブと対戦し、フルカウントから内角高めのツーシームを見極めて四球で出塁。粘り強い打席でチャンスを演出したが、後続のムーキー・ベッツ選手が凡退し、得点には繋がらなかった。3回、1対2とリードされた場面で大谷選手は右翼フェンスを越える特大の32号2ランホームランを放ち、球場外の「マッコービーコーブ」に着水する“スプラッシュ・ヒット”を記録。日本の選手として初めてこの記録を達成し、SNS上でも「オオタニ スプラッシュ!」とドジャース公式やMLB公式が速報で興奮を伝えた。しかし、この一撃もチームの勢いを継続させるには至らなかった。
ドジャースの投手陣は4回に崩れた。メイ投手が連続四球で1死一・二塁のピンチを招くと、ジャイアンツの打線につけ込まれ逆転を許した。さらに5回にはメイが2点を追加で失い降板。リリーフのアンソニー・バンダ投手も2死一・三塁から3失点を喫し、スコアは2対8と大きく開いた。打線は6回にテオスカー・ヘルナンデス選手の適時二塁打とマイケル・コンフォート選手の8号2ランで2点差に迫り、7回にはベッツ選手の二塁打と敵失でチャンスを作り、ウィル・スミス選手の中前適時打で1点差まで詰め寄った。しかし、反撃はここまで。ジャイアンツの救援陣に抑えられ、逆転には至らなかった。
大谷選手はこの試合、4打数1安打2打点。ホームランに加え、粘り強い打席でチームを鼓舞したが、試合後のインタビューでは「チャンスで一本が出れば違った展開になったかもしれない」と悔しさを滲ませた。ナショナルリーグ西部地区首位を走るドジャースだが、7連敗で2位のパドレスとのゲーム差は4まで縮まり、地区優勝争いは一層厳しさを増している。ロバーツ監督は試合後、「確かに厳しい時期だが、選手たちは最後まで戦った。投打が噛み合えば、必ず巻き返せる」と前を向いたが、チームの課題は明らかだ。
投手陣の不安定さが連敗の大きな要因となっている。先発陣は故障者も多く、救援投手も安定感を欠いている。メイ投手はこの試合で7失点を喫し、試合後のコメントでは「コントロールが全て。今日は本当にダメだった」と反省を口にした。一方、打線も好機での決定力不足が目立つ。大谷選手やベッツ選手、フリーマン選手といった主力がチャンスで結果を残す場面はあるが、チーム全体としてビッグイニングを作り切れていない。ロバーツ監督は「打線はもっと繋がりが必要。個々の力はあるが、チームとして一つにならないと」と課題を指摘した。
ファンからはSNS上で「大谷のホームランはすごかったけど、チームが勝てないと意味がない」「7連敗はショック。早く立て直して!」といった声が上がっている。特に大谷選手の活躍を期待して球場に足を運ぶファンが多い中、チームの低迷は観客動員にも影響を与えかねない。7月4日時点で2位と9ゲーム差あったドジャースだが、わずか1週間でその差が半分以下に縮まった事実は、チームにとって危機感を高める材料だ。
次の試合は13日、大谷選手が今季5度目の先発登板を予定している。31歳の誕生日を迎えたばかりの彼は、7月5日のアストロズ戦で2回無失点、3奪三振の好投を見せたが、チームは逆転負けを喫した。投手としても打者としてもチームを牽引する大谷選手の活躍が、連敗脱出の鍵となる。ファンの期待は高まる一方で、ドジャースは大谷選手を中心に再び勢いを取り戻せるか、正念場を迎えている。