ロサンゼルス・ドジャースは2025年シーズン、怪我の連鎖という試練に直面しながらも、大谷翔平の復帰に大きな期待を寄せている。2023年8月に右肘内側側副靭帯を損傷し、投手としての活動を中断した大谷は、2024年シーズンを打者に専念して戦い抜いた。その結果、54本塁打、130打点という驚異的な成績を残し、ナショナル・リーグの2冠王に輝き、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成。さらに、2年連続3度目のMVPを受賞するなど、打者としての存在感を存分に示した。しかし、ドジャースとファンが待ち望むのは、彼の「二刀流」としての完全復活だ。

2024年10月のワールドシリーズ第2戦で、大谷は二塁盗塁を試みた際に左肩を亜脱臼し、関節唇損傷を負った。この怪我は、チームにとってさらなる試練となった。ドジャースは既に、山本由伸の右肩腱板損傷、ムーキー・ベッツの左手骨折、クレイトン・カーショウの長期離脱など、主力選手の負傷に悩まされていた。それでも、大谷は驚異的な回復力を見せ、11月5日にロサンゼルスで左肩手術を受けた。手術は成功し、2025年2月の春季キャンプに打者として参加可能とされている。実際、3月7日時点のオープン戦では打率.417と好調な打撃を披露し、復帰への準備が順調であることを示している。

大谷の投手としての復帰は、ドジャースにとって最大の希望だ。当初、2025年5月頃の先発ローテーション復帰が予定されていたが、ロバーツ監督は慎重な姿勢を崩さず、「復帰時期は未定」と述べている。2月25日以降、ブルペンでの投球練習を控え、野手としての調整に専念している大谷だが、5月26日の実戦登板練習では最速156キロの速球と鋭いスプリット、ツーシームを投げ込み、米メディアから「歴史上最も重要な実戦練習」と称賛された。ロバーツ監督も「新鮮だった」とコメントし、復帰がオールスター明けになる可能性を示唆した。

ドジャースの投手陣は、怪我の影響で不安定な状況が続いている。マイケル・コペックの右肩負傷、ウォーカー・ビューラーの右股関節炎など、リリーフ陣や先発陣にも離脱者が相次いでいる。こうした中、大谷の投手復帰はチームにとって起爆剤となるだろう。2023年9月の右肘手術から2年、人工靭帯を用いた新しい術式により、従来のトミー・ジョン手術より短い7か月程度での復帰が可能とされている。大谷の代理人ネズ・バレロ氏は、損傷が軽度であることを強調し、2025年シーズン中の二刀流復活に自信を見せている。

一方で、元MLB選手のアレックス・ロドリゲス氏は「今季は無理せず打者に専念すべき」と慎重論を唱える。ドジャースが大谷の投手復帰を急ぐと、DHとしての活躍に影響が出る可能性を指摘した。しかし、大谷自身は「思い切りパフォーマンスを出せないと納得しない」という信念を持ち、過去の手術後も驚異的な回復力で復活を遂げてきた。2018年の右肘手術後、1年9か月で投手として復帰し、2021年には本格的に二刀流として活躍。こうした実績が、ドジャースの信頼を支えている。

チーム全体の状況を見ても、ドジャースは怪我の連鎖を乗り越え、ナ・リーグ西地区首位を維持している。ベッツやマンシー、カーショウが復帰しつつある中、大谷の投手復帰はチームの勢いをさらに加速させるだろう。ファンの間では、彼のマウンドでの姿を待ち望む声が高まっている。Xの投稿では「大谷の二刀流復活がドジャースを救う！」と期待が広がり、球団幹部も「彼は順調だ」と太鼓判を押す。

2025年シーズンは、大谷翔平の二刀流復活がドジャースの命運を握る。怪我の黙示録に抗い、彼の腕が再び輝く瞬間が近づいている。ファンもチームも、その壮大な復帰を心から待ち望んでいる。